我が国では、各分野で脱炭素社会の実現に向けての取り組みが加速しています。一方で、気候変動に伴う自然災害の激甚化、人口減少・少子高齢化、インフラの老朽化など多くの社会的課題に直面しております。また、建設業界では就労者の高齢化により担い手不足が深刻化してきており、近年は輸送従事者の就業時間の抑制による輸送費の高騰なども懸念されています。
ESCONは国内の技術と材料で構築した圧縮強度150N/mm2の超高強度を有する合成繊維補強コンクリートです。特徴として非常に緻密な組織を有するため、劣化因子の浸入がなく極めて高い耐久性を有しているので、構造物の長寿命化によるライフサイクルコストの低減が可能となります。さらに、超高強度を活かし構造部材の軽量化が実現でき、プレキャスト部材として採用した場合は、現場での省力化や輸送費の低減が可能となります。
また、現場での練混ぜ、打込みが可能であることや、高流動の特徴を有していることから過密配筋構造体へも対応でき、締固め作業も不要なことを確認しており、今後の適用拡大が期待されます。
上述するように、ESCONを用いることで構造物の長寿命化がはかれるため、従来のスクラップ&ビルドと比較し、ライフサイクルCO2の低減に期待でき、脱炭素社会の実現に向けて有効な手段になるものと考えます。
このようにESCONは、わが国が抱える様々な課題を解決することが期待できる材料であります。当協会では、ESCONを用いた設計資料や現場施工する場合のマニュアル等を整備し、協会員各社様と共にESCONの普及拡大に努めております。
これからも社会インフラへのESCON技術の普及をめざしてさらに技術開発等を進めていきたいと考えておりますので、今後ともご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。